11.DMI Directional Movement Index 方向性指数 ディレクショナル・システム

■ 考案者 : J.W.ワイルダー氏(Welles Wilder)が1978年に発表
■ 考え方 :
価格の変動幅(上昇・下落)を指数化することで、トレンドの方向性、強弱を分析します。
@当日の高値・安値が、前日の高値・安値に比べて、どちらが大きいかを比較します。
A当日の値幅が、前日の値幅の上か下か、どちらかにはみ出してきたかを検証することで、トレンドの方向性を見極めます。
B一定期間の平均値を計算して、トレンドの強弱を指数化します。
【強気筋(買い方) 対 弱気筋(売り方)】
・当日の価格を前日の値幅の外側に移動させる、強気筋(買い方)と弱気筋(売り方)の勢力を計測することで、トレンドの方向を見極めます。
・当日の高値が前日の高値を上回っている場合⇒ 強気筋が優勢 ⇒ 上昇トレンド
・当日の安値が前日の安値を下回っている場合⇒ 弱気筋が優勢 ⇒ 下落トレンド

■ 計算式
@方向性(DM: Directional Movement ディレクショナル・ムーブメント)の分析
・前日と当日の変動幅(上昇幅・下落幅)を比較して方向性(DM)を分析します。
+DM(上昇幅)と-DM(下落幅)を比較して、大きい方をカウントし、小さい方は「ゼロ」にします。
+DM(plus DM)=当日の高値−前日の高値(上昇幅:上昇方向の増加分⇒上昇の強さ)
-DM(minus DM)=前日の安値−当日の安値(下落幅:下落方向の増加分⇒下落の強さ)
+DM<0なら +DM=0  当日の高値が前日の高値を上回っていない場合
-DM<0なら -DM=0  前日の安値が当日の安値を上回っていない場合
+DM>-DMなら -DM=0 +DM(上昇幅)が-DM(下落幅)を上回っていれば、-DM(下落幅)は0
-DM>+DMなら +DM=0 -DM(下落幅)が+DM(上昇幅)を上回っていれば、+DM(上昇幅)は0

A実質変動幅(TR:True Range トゥルー・レンジ)の計算
・実質変動幅とは、変動幅の増加分であり、AかBの大きい方、AかCの大きい方です。
A:当日の高値−当日の安値
B:当日の高値−前日の終値
C:前日の終値−当日の安値

B方向性指標(DI:Direction Indicator ディレクショナル・インディケーター)の計算
・方向性(DM)を実質変動幅(TR)で割ることで、方向性指標を計算します。
  (期間は、ワイルダーは14日間を採用しています。)
+DI=(14日間の+DMの合計)÷(14日間のTRの合計)×100% ⇒上昇の強さ
−DI=(14日間の−DMの合計)÷(14日間のTRの合計)×100% ⇒下落の強さ
C方向性指数(DX Directional Movement Index)の計算
・方向性の強さを示す+DIと−DIの差の絶対値を、方向性を持っていた比率{+DI+(−DI)}で割り、指数化することで、トレンドの強弱を認識できるようにします。
・DXは、上昇・下落に関わらず、トレンドが強くなれば増加し、弱くなれば、減少します。
・DXが反転する時は、トレンドが反転する可能性が高いことを示唆します。

DADX(Average Directional Movement Index):DXの指数平滑移動平均線(EMA)
・ディレクショナル・ライン(+DIと−DI)の差
・トレンドが強く、継続する場合⇒ 2本線の差は拡大⇒ ADXは上昇
・トレンドが弱く、反転するかレンジ相場に移行する場合⇒2本線の差は縮小⇒ADXは下落

■ 取引のルール
・ ADXが25以上の場合:トレンド相場なので「順張り」で臨む
・ ADXが25未満の場合:レンジ相場の可能性が高いので「逆張り」で臨む
【買いシグナル】
・+DIが-DIを下から上に突き抜けた時  (+DI>-DI)
・ADXが上昇し、かつ+DIとADXが-DIの上にある時 (+DI>ADX>-DI)
・ADXが+DIと-DIの下から上に突き抜けた時(理想的には25以上)
・利食い : ADXが+DIと-DIの上から反落した時
・損切り(ストップ・ロス): +DIが-DIを下抜けた時
【売りシグナル】
・-DIが+DIを下から上に突き抜けた時   (+DI <-DI)
・ADXが上昇し、かつ -DIとADXが+DIの上にある時(+DI<ADX<-DI)
・ADXが+DIと-DIの下から上に突き抜けた時(理想的には25以上)
・利食い : ADXが+DIと-DIの上から反落した時
・損切り(ストップ・ロス): -DIが+DIを下抜けた時
【ワイルダーの極値ルール Extreme Point Rule】
・極値:+DI>-DI ⇒ 高値   高値を更新した場合「買いシグナル」となる
・極値:+DI<-DI ⇒ 安値   安値を更新した場合「売りシグナル」となる

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